笹野一刀彫を未来へつなげるため奮闘するおたか三兄弟に迫った
おたか三兄弟物語後編です!
もし前編がまだの方はこちらから
後編ではおたか三兄弟の今とこれからに迫ります…。
前回の復習
鋭い眼光、重厚な佇まいに美しい羽をもち、商売繁盛の守り神とされる「お鷹ぽっぽ」など、米沢市の南部、笹野地区で代々受け継がれている伝統工芸品『笹野一刀彫』。
千数百年余り続くこの伝統工芸品を、絶やさず未来へつなげるために奮闘している方々、それがこの記事の主役『おたか三兄弟』。
3人とも南原地区で育ち、保育園から中学校まで同じ学校に通い、一度はそれぞれの道に進みながらも、「米沢らしいもので米沢の為に何かしたい」その思いのもと集まった双子の兄弟と幼馴染の3人。
その今までとこれからに迫りました。
おたか三兄弟の今
修行からまる二年が経過したころ、師匠から双子の兄弟と幼馴染は3人合わせて
「おたか三兄弟」の
名前をもらいました。
現在は、注文をいただいて制作をつづけながら、昔の作品の復活や、新たな作品作りを行っています。
いろんな作品の良いところを学びながら、自分自身の最高を作り上げます。日々修行は欠かせません。
惚れぼれする実演。
おたか三兄弟は、依頼をもらって、主に県内で実演販売を行っています。
木を刃物ひとつで削っていくその姿は、力強く迫力があり、かつとても繊細です。
切ってみないとわからないという木の状態。
粘り気があったり、
危険と隣り合わせで、文字通り魂を込めながら、
縁起物として作られている、笹野一刀彫。
一つ一つに手に取る人への思いを込めて…。
お鷹ぽっぽだけじゃない。
進化する笹野一刀彫。
お鷹ぽっぽ以外にも、一刀彫には様々あり、その数は30種類ほど。
種類によっては彫れる人が限られており、継承が急がれるものも…。
おたか三兄弟は、消滅してしまいそうな作品の復活、そして新しい作品の創作。
その両方を続けています。
たとえ商品として市場にでることがなくとも、継承していくため努力を続けています。
応援してくださる方々の声を受けて
ケガがつきものでも、
なかなか利益につながらなくても、
それでも笹野一刀彫を続けるのは、応援してくださる方々の声がちゃんと届いてるから。
普通のサラリーマンじゃ味わえないよなぁと嬉しそうに笑うおたか三兄弟。
伝統工芸の職人としては珍しかった若いおたか三兄弟はメディアに取り上げられることも少なくありません。
そのたびに、応援してくださる方が増えて、多くの声が彼らの元にも届くようになりました。
また、県内で行う実演販売。
子どもから大人まで、目を輝かせて自分たちの実演を見に来てくれる。
かっこいい、かわいいの声は、確実に彼らの力になっています。
おたか三兄弟の思いは一つ。
笹野一刀彫をなくしたくない。繋いでいきたい。
じつは、笹野一刀彫は、販売を始めた当初からほとんど価格が変わっていません。
出来上がるまで一つ一つの工程にかける手間暇を惜しまない職人の思いや、
技術の高さをもっとお客さんに伝えたい。
価値のあるものだと思うからこそ、
笹野一刀彫というブランドを確立して、もっと価値を上げたい。
そのために県外への出荷など活動を続けています。
笹野一刀彫だけで食べて行けるようにするのが目指す未来。
次に笹野一刀彫をやりたいという未来の職人の為。
そして笹野一刀彫の未来を次に繋げるため。
自分たちの今も見つめながら、次の世代へつなぐ未来を背負う。
男らしい職人の熱い想いは、徐々に広がりを見せ、笹野一刀彫の購入者は増えています。
これからもつづく…。
今回の取材を通して、私の笹野一刀彫へのイメージは、ガラッと変わりました。
最初は一家に一台ある堅いイメージの伝統工芸品。
しかし、その一台には職人さんが魂を込めて、手に取る人への願いを込めているということ。
知れば知るほど愛らしく、大きく、温かく見える。
これからもそんな思いが彼らと彫り続ける職人さんの手によって広がっていくのだと思います。
これからも大切な伝統工芸を守り続けて行くおたか三兄弟の物語は続きます。
この記事をきっかけに、少しでもその読者の輪が広がればうれしく思います。
読んで下っておしょうしな。
笹野一刀彫おたか三兄弟
Facebook:
笹野一刀彫おたか三兄弟 @sasanoittobori
インスタグラム: @otaka3_yonezawa